2021-07-22 20:35

開幕目前、深まる混迷=式典担当が次々退場―組織委の対応も後手後手〔五輪〕

 1年延期を経て迎える東京五輪は、開幕目前となってコロナ禍以外の理由で混迷が深まっている。式典を担当するクリエーターの問題ある言動が次々と発覚。その対応で大会組織委員会は後手後手になった。開催都市にとってショーケースでもある開会式の核は崩れ、もはや祭典とは言いがたい。
 開会式のオープニング楽曲を制作した小山田圭吾氏は、以前に雑誌で語った障害を持つ同級生へのいじめ行為が批判を浴びて辞任。ショーディレクターの小林賢太郎氏は過去の反ユダヤ的発言への批判が高まり、組織委が解任した。去就を問われた橋本聖子会長は「責任は私にある」としつつ、辞任は否定した。
 問題となった言動は、いずれも20年以上前。武藤敏郎事務総長は「昔のことを調査するのは実際は困難」と理解を求めた。当人たちがどこまで責めを負うべきかはともかく、人選において組織委は危機管理の意識が欠けていた。
 式典をめぐっては昨年12月に野村萬斎氏が統括を務めたチームが解散。新体制を率いた佐々木宏氏は、出演候補者だった女性タレントの容姿を侮辱する演出案を出したことなどで批判されて3月に辞任した。
 その後のチーム編成は現場に一任されていた。武藤事務総長は「われわれが一人一人を選んだわけではない」と言うが、無関心なのも許されない。
 水を差す出来事が相次ぎ、23日午後8時には国立競技場で開会式が始まる。橋本会長は「現段階で、開会式を見たくないと思っている方がたくさんいることは承知している」。そう言って、うつむいた。