2021-01-01 05:24

定まらないコロナ対策=開催ありきも綱渡り―延期の東京五輪イヤー

国立競技場を視察する国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長=2020年11月17日、東京都新宿区
国立競技場を視察する国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長=2020年11月17日、東京都新宿区
 2021年を迎え、延期された東京五輪まで7カ月を切っても新型コロナウイルスの影響は見通せない。政府と東京都、大会組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)は開催ありきの姿勢を示すが、要のコロナ対策は肝心な部分が定まらず、綱渡りが続く。
 20年12月の中間整理では、観客対策が今春に先送りされた。上限数は国内規制に準じ、外国人観客は入国時検査やアプリ導入などで14日間待機を免除するとしたが流動的だ。変異種の世界的な拡大を受けて全ての国・地域からの外国人の新規入国を停止したように、状況は刻々と変わる。
 選手にも入国後の待機を求めず、選手村で原則96〜120時間の間隔で定期検査をする。ただ、「偽陽性」の疑いを踏まえた対応や、陽性者が出た場合の出場可否や競技運営の在り方については踏み込めていない。医療体制が逼迫(ひっぱく)する中、入院が必要な選手や関係者を受け入れる医療機関の確保も見えていない。
 中間整理はワクチンを前提にしておらず、IOCは入手できるなら費用を負担するものの接種は義務付けないとした。あくまで策の一つとして位置付けることで、開催への影響をかわしている。
 コロナ対策が途上の中、20年末に総額1兆6440億円の予算計画が公表された。延期に伴い2940億円の増額。ただ、組織委が延期前と同額の900億円を計上したチケット収入は満員を前提としている。観客数を制限すれば見込んでいる収入が大幅に減るが、大会関係者は「どう転んでも最後は国が出す」とみる。国と都で960億円を負担するコロナ対策費も変動する可能性がある。
 20年3月に決まった延期は、主要国の国内オリンピック委員会(NOC)などからの疑義がきっかけだった。選手団を派遣するNOCの動向は重要。組織委は1月に各NOCの医事担当者らを集めたオンライン会議を開く予定で、そこでコロナ対策への理解を得られるかどうかがまずはカギになる。
 多くのことが不確定でも、五輪の事情に詳しい識者や大会関係者は「どんなことがあってもやるのではないか」と口をそろえる。東京五輪が中止になれば22年北京冬季五輪も危うい。収入の約7割を占めるテレビ放映権料を2大会続けて失えば、五輪を支えるNOCや国際競技団体(IF)への分配金に影響し、IOCには死活問題になるという。さらに、苦境が続く政府にとって「五輪が最後のとりでになりつつある」との見方もある。