2021-07-11 07:15
小池、森氏に不協和音=経費負担、会場変更めぐり―五輪、迷走の8年(4)
「1兆、2兆、3兆って、お豆腐屋さんじゃないんです」。リオデジャネイロ五輪の開幕を間近に控えた2016年7月。東京都知事選に出馬した小池百合子氏は街頭演説で、東京五輪の開催経費が招致段階で示された7300億円から兆単位へと膨れ上がっていくことに疑問を呈した。
当選した小池新知事は早速、森喜朗氏をトップに置く大会組織委員会に説明を求めた。焦点の一つとなったのは恒久施設として計画された新設の競技会場。大会終了後の維持管理なども含め、都の負担となる費用の高騰が問題視された。
9月には「都政改革本部」の下に設けられ、五輪関連予算の妥当性を検証した調査チームが、開催経費が3兆円超になるとの報告書を公表。都内に新設が予定されていたボート・カヌー、水泳、バレーボールの3会場は大幅な見直しが提案され、宮城県や埼玉県などの既存施設を活用する案が浮上した。
森氏は「都は本当にやるのか。それでもやるというなら大変なことだ」と移転案に難色を示した。国際競技団体なども反対の姿勢だったが、宮城県登米市の長沼ボート場は「復興五輪」とも結び付けられ、小池知事が視察すると大きな反響を呼んだ。
結局、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長との会合などを経て、3カ月もたたずにこれらの会場は予定通り都内に新設されることとなった。森氏は「(小池知事は)何も勉強していない」と述べるなど、対立の構図が浮かび上がった。
問題はその後も尾を引いた。都の調査チームは都外の仮設施設の整備費について、国の支援を受けて地元自治体が負担するようにも提言していた。各自治体の反発などもあり、整備費について都が全額負担の方針を表明したのは17年5月。森氏は「遅過ぎるが、決断してくれてよかった」と皮肉を交えて語った。
大会開催に向けて、本来は両輪となって進んでいくはずの開催都市と組織委のトップが互いにけん制し合った。今年2月に森氏が女性蔑視発言で会長を辞任するまで、両者の間に友好的なムードが感じられることはなかった。
当選した小池新知事は早速、森喜朗氏をトップに置く大会組織委員会に説明を求めた。焦点の一つとなったのは恒久施設として計画された新設の競技会場。大会終了後の維持管理なども含め、都の負担となる費用の高騰が問題視された。
9月には「都政改革本部」の下に設けられ、五輪関連予算の妥当性を検証した調査チームが、開催経費が3兆円超になるとの報告書を公表。都内に新設が予定されていたボート・カヌー、水泳、バレーボールの3会場は大幅な見直しが提案され、宮城県や埼玉県などの既存施設を活用する案が浮上した。
森氏は「都は本当にやるのか。それでもやるというなら大変なことだ」と移転案に難色を示した。国際競技団体なども反対の姿勢だったが、宮城県登米市の長沼ボート場は「復興五輪」とも結び付けられ、小池知事が視察すると大きな反響を呼んだ。
結局、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長との会合などを経て、3カ月もたたずにこれらの会場は予定通り都内に新設されることとなった。森氏は「(小池知事は)何も勉強していない」と述べるなど、対立の構図が浮かび上がった。
問題はその後も尾を引いた。都の調査チームは都外の仮設施設の整備費について、国の支援を受けて地元自治体が負担するようにも提言していた。各自治体の反発などもあり、整備費について都が全額負担の方針を表明したのは17年5月。森氏は「遅過ぎるが、決断してくれてよかった」と皮肉を交えて語った。
大会開催に向けて、本来は両輪となって進んでいくはずの開催都市と組織委のトップが互いにけん制し合った。今年2月に森氏が女性蔑視発言で会長を辞任するまで、両者の間に友好的なムードが感じられることはなかった。