2021-06-24 07:33

厳戒態勢で国際大会開催=東京パラ実現へのヒントも

 障害者スポーツの祭典、東京パラリンピック開幕まで24日であと2カ月。トライアスロンと5人制サッカー(ブラインドサッカー)は、国内で国際大会を成功裏に開催した。新型コロナウイルスのワクチンの全国的な普及は道半ばだが、あらゆる感染防止策を盛り込んだ厳戒態勢を敷いて乗り切った。
 トライアスロンは4月下旬に広島県廿日市市で健常者のカテゴリーもあるアジア選手権を開いた。コロナ禍になって以降、この競技では海外勢を招いた初の国際大会。選手は比較的会場に近い関西国際空港からの入国に限定した。また、国ごとに専用車を用意して滞在先のホテルと会場を直行する手はずを整えた。県外から来る報道陣にもPCR検査の受検を義務付け、外からウイルスを持ち込むリスクの排除に努めた。
 5月中旬には横浜市で世界大会を開催。選手は会場のすぐ近くのホテルに宿泊し、移動を最小限に減らした。男子PTS4クラスの宇田秀生(NTT東日本・NTT西日本)は「慣れないことばかりだが、みんな同じ条件。辛抱して、それも競技の内だと割り切らないといけない」。日本トライアスロン連合によると、横浜大会最終日から2週間以上たった5月末時点でも、選手、大会関係者に陽性者は確認されなかった。
 緊急事態宣言下の東京都内で開催にこぎ着けたのは5人制サッカー。4カ国を招き、今月5日まで1週間にわたり国際大会「ワールドグランプリ」を実施した。日本ブラインドサッカー協会はヘルスケアサービスが専門の企業と業務委託契約を結び、臨床検査技師やサッカー救護専門の看護師を24時間常駐させる態勢を整え、有事に備えた。
 五輪競技と比べるとパラ競技団体は相対的に事業規模が小さく、自力での対策には限界があると言える。外部との連携を図り、課題と向き合った事例は他のパラ競技団体にも参考になりそうだ。
 参加した海外4カ国は、世界ランキング1位のアルゼンチンをはじめ全て東京大会出場国。パラ初出場となる日本は2位と健闘し、自信を深める場にもなった。