2020-12-11 21:53

カギは「第2の武器」か=丸山―阿部の決戦展望―柔道男子66キロ級

 柔道の東京五輪男子66キロ級日本代表決定戦(13日、東京・講道館)に、昨夏の世界選手権を制した丸山城志郎(ミキハウス)と2017、18年世界王者の阿部一二三(パーク24)が臨む。新型コロナウイルス感染症対策のため無観客開催。過去の直接対決では、27歳の丸山が4勝3敗と23歳の阿部をリードしている。
 ◇実力伯仲の両雄
 組み手は丸山が左、阿部が右のけんか四つ。昨年の全日本選抜体重別選手権が開始から13分以上に及ぶ激闘だったように、6試合が延長と実力は拮抗(きっこう)している。競り合いの中、丸山は捨て身技、阿部は足技で活路を見いだしてきた。
 最初の対戦だった15年の講道館杯全日本体重別選手権は、丸山がともえ投げで優勢勝ち。18年のグランドスラム(GS)大阪大会でも、丸山は得意の内股を見せつつ、ともえ投げで、その後の2戦も、ともえ投げと似た浮き技で技ありを奪った。
 豪快な担ぎ技が魅力の阿部は、17年GS東京大会では大内刈りで一本を取った。昨年のGS大阪大会では、丸山が踏み込んだところを足技で返すように振って優勢勝ち。互いの一番の得意技を十二分に警戒し合う中、今回も「第2の武器」がカギとなるかもしれない。
 ◇久々実戦、秘策は?
 丸山は昨年11月、阿部は今年2月以来の実戦。間隔が空く上、今回は「一発勝負」という異例の形式だ。開始から全力を発揮できるかも重要になるだけに、ある強化関係者は、やや強引でもどんどん仕掛けていくタイプの阿部の方が「やりやすいかもしれない」とみる。
 「丸山は手数でも返していくこと」とし、「指導で大きなビハインドをもらわないまま、コンビネーションを使っていきたいところではないか」と続けた。阿部を組み止められれば、丸山は正統派のスタイルから豊富な技を繰り出せるだろう。
 お互い研究の上に研究を重ねての激突。新技や秘策はあるのか。この関係者は「試合が長引いたとき、何かアクセントになるものを準備して、それを出す勇気があるのかどうか。投げることができなくても、驚かせるだけでも勝負のあやは動くのでは」と予想した。世界最高峰の決戦は、どんな結末を迎えるか。

 ◇丸山と阿部の直接対決
       大 会        勝者            
15年11月 講道館杯  準々決勝 丸山  優勢(ともえ投げ)  
16年 4月 選抜体重別 決勝   阿部 ※優勢(指導2)  
17年12月 GS東京  決勝   阿部 ※一本(大内刈り)   
18年11月 GS大阪  決勝   丸山 ※優勢(ともえ投げ)  
19年 4月 選抜体重別 決勝   丸山 ※優勢(浮き技)  
    8月 世界選手権 準決勝  丸山 ※優勢(浮き技)  
   11月 GS大阪  決勝   阿部 ※優勢(支え釣り込み足)
(丸山4勝、阿部3勝。※は延長、GSはグランドスラム)