2022-03-10 13:30

特別な「3.11」にレース=阿部、故郷へ思い乗せて―北京パラ〔パラリンピック〕

 故郷へ特別な思いを乗せて、レースに挑む。東日本大震災から11年となる11日、北京パラリンピックのバイアスロン女子12.5キロ立位に臨む阿部友里香(日立ソリューションズ)は、津波で大きな被害に遭った岩手県山田町の出身。「地元の方々、応援していただいている方々に、一つでも多くの何かを感じ取ってもらえるように頑張りたい」と意気込む。
 出生時の事故で左腕が不自由。震災当時、阿部は中学3年生だった。その翌日、避難先から戻った自宅は全焼していた。それでも心を奮い立たせた。「震災があったからスキーを本格的に始めようと思った。いわば人生のターニングポイント」と振り返る。
 それから11年。阿部は26歳になった。パラリンピックは今回が3度目の出場。以前まで、「滑っている姿で勇気づけたい」などと発言したくはなかったそうだが、考え方が変わったという。
 昨夏の東京五輪・パラリンピックを見たことがきっかけだった。「私自身、頑張ろうと思えた。多くの人がそういう気持ちやパワーをもらっているということを実感した」
 ここまで距離スキーとバイアスロン計3種目に出場し、「前の大会よりもベストを出せている」と話す。懸命に走る姿は、地元に届くと信じている。