2022-03-09 13:35

活躍支えるチェアスキー=日本の技術を結集〔パラリンピック〕

 北京パラリンピックのアルペンスキー座位は男女とも3種目を終えて、女子の村岡桃佳(トヨタ自動車)が金2、銀1のメダル3個、男子は森井大輝(同)が銅二つを獲得した。2人の活躍を支えるチェアスキーの開発には複数の企業が携わっており、日本の技術が結集した「マシン」として存在感を高めている。
 1本のスキー板といすを支える脚の部分はフレームと呼ばれ、トヨタ自動車と、車いすなどを作る日進医療器(愛知県北名古屋市)が2015年から共同で開発。車両の解析技術と医療の知見を生かして改良を進め、村岡が使うチェアスキーは18年平昌大会と比べて空気抵抗を9%低減させることに成功した。
 森井は特にチェアスキーにこだわってきた。「心技体、プラス、道具が重なってタイムが出る」。北京パラに向けて、衝撃を吸収するサスペンションの硬さなど、100通り以上のセッティングを試してきたという。
 RDS(埼玉県寄居町)の杉原行里社長は、13年から森井を支え続ける。脚を覆って風よけの役割を果たすカウルなどを提供し、強度の改善、グラム単位の軽量化に努めてきた。滑るごとにセッティングを変え、延々とテストを繰り返す森井の姿勢に心を打たれたそうで、「当初はここまでやるつもりはなかったが、熱い男を勝たせてあげたかった」と振り返る。
 サスペンションは村岡、森井とも日立アステモ(東京都千代田区)が開発を担っている。座位は日本が得意とするクラス。選手がもたらしたメダルは、日本の技術力の証しでもある。