2022-03-06 07:38

マスターズ、戦時下の故郷に思い=ウクライナ生まれの米国人〔パラリンピック〕

 バイアスロン女子6キロ座位で金メダルに輝いたオクサナ・マスターズ(米国)は、特別な思いで大会に臨んでいた。ロシアによる軍事侵攻を受けているウクライナ生まれの32歳。「米国人であることに誇りを持っているが、ウクライナ出身であることにも同じくらい誇りがある」と言った。
 正確な射撃はミスが一つもなく、走りも軽やかだった。スキー距離では2018年平昌大会で2種目を制したが、バイアスロンでは初の金メダル。「信じられない」と喜びを爆発させた。
 手足が変形し、腎臓が一つしかない状態で生まれた。直後、孤児院に預けられ、7歳の時に養子として米国へ。14歳までに両足を膝の上で切断した。これまでノルディックスキー以外にボートや自転車にも打ち込み、昨夏の東京パラリンピックでは自転車ロードで二つの金メダルを手にした。
 生まれ故郷に戦火が及んでいる中、幕を開けた大会。現地での練習ではウクライナ国旗のマークを胸に着けて調整したという。「パワーを全てのウクライナの人に届けたい」と思いをはせた。