2021-05-07 19:40

「理解得るのは困難」=パラ採火中止で会見―相模原市長

 本村賢太郎相模原市長は7日記者会見し、2016年に入所者らの殺傷事件が起きた「津久井やまゆり園」(同市)でのパラリンピック聖火の採火計画の中止を発表した。本村氏は「皆さんから幅広い理解を得るのは難しい。遺族や(被害者ら)家族に寄り添い判断しなくてはいけない」と述べた。市は新たな採火場所を6月にも決定する。
 市は採火計画をめぐり、被害者や園の利用者家族にアンケートを実施。被害を受けていない人も含まれる。寄せられた意見52件のうち賛成27件、「5年前を思い出したくない」など反対19件、賛否不明が6件だった。本村氏は「(計画の)理念は間違っていないとの思いはあるが、遺族らの思いを受け止めていなかったとの反省もある」と語った。
 記者会見後、事件で重傷を負った尾野一矢さん(48)の父剛志さん(77)は記者団に「ほっとしているが、市の言い分は都合の良い言い訳だ」と述べた。事件で亡くなった美帆さん=当時(19)=の母親は「変更は反対意見を寄せてくださった多くの方々のおかげです。(採火方針発表から)心がひどく痛んだ1カ月半でした」とのコメントを出した。