2022-02-22 07:02

最多メダルに沸いた日本=興奮の熱戦、トラブルも〔五輪〕

 20日まで熱戦が繰り広げられ、日本選手の活躍が光った北京五輪。昨夏の東京五輪に続き、新型コロナウイルス下で行われた冬季スポーツの祭典を、取材に当たった時事通信の記者が振り返る。
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 A 日本選手団は、冬季大会で過去最多だった前回平昌五輪をさらに上回るメダル18個を獲得した。このうち金は3個。コロナ禍で国際大会出場への制限も多かった中、大きな成功と言える。
 B ジャンプで小林陵侑の個人ノーマルヒル金メダルは見事。特に1回目は追い風でライバルが失速する中でのビッグジャンプ。ラージヒルも銀で、伝統のジャンプ週間で2度も総合優勝した力を存分に知らしめた。
 C 選手団主将を務めたスピードスケートの高木美帆は、悲願だった個人種目の金に加え銀も3個。それはデビット・コーチの存在なくして語れない。不在時の不安そうな表情が消え、迷いがなくなったのも伝わってきた。
 D スノーボードで金メダルに輝いた平野歩夢は、2回目で首位に立ったと確信したが2位に。本人以上に各国の関係者からブーイングが起きていた。とはいえ、きっちり3回目に逆転し、会場は大喝采となった。
 B ノルディック複合団体で28年ぶりのメダルとなる銅は予想外で、興奮する記者も多かった。個人で3大会連続表彰台の渡部暁斗を中心に、後半距離で欧州の強豪と競り合った価値は大きい。
 D フリースタイルスキーのモーグルは、堀島行真が日本勢メダル第1号の銅で選手団に勢いをつけた。女子で5位の川村あんりは悔し涙を流して取材に応じた後、「寒い中、ありがとうございました」。17歳の気配りに金メダルをあげたい。
 A 大会最終日には、カーリングのロコ・ソラーレの日本が決勝で英国に敗れて銀。藤沢五月の涙には五輪の重圧の大きさを、常に笑顔で鼓舞し続けた吉田知那美の姿にはチームの絆を感じた。
 B トラブルも多かった。ジャンプ混合団体ではスーツの規定違反で高梨沙羅ら女子5選手が失格になり、騒動となった。選手たちの無念さを考えると心が痛む。
 A フィギュアスケートで優勝候補だった15歳のワリエワ(ロシア・オリンピック委員会=ROC)のドーピング問題は誰もが驚いた。出場継続が認められたものの、フリーの演技はミスが続いて4位。コーチや医師らが関与した疑いもあり、問題は長引きそう。
 C 銅メダルを獲得した坂本花織や樋口新葉がワリエワの問題に対する受け止めなどを海外メディアから求められていた。競技以外の面で集中できない部分もあったかも。
 A 羽生結弦は前人未到のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に五輪史上初挑戦。3連覇とメダルは逃しても、記憶に残る大会となった。
 D 大会直前に右足首を捻挫していたスピードスケートの小平奈緒、腰痛を抱えていたアルペンスキーの安藤麻のように、実力を十分に発揮できなかった選手もいた。五輪にピークを合わせる難しさを改めて感じさせられた。
 C 高木美が女子団体追い抜きの決勝レース後、いつも以上に率先して取材対応しているのが印象的だった。転倒して負い目を感じている姉の菜那を気遣っての振る舞いが見て取れた。