2021-05-06 22:25

不安緩和になり得るか=選手「特別扱い」に懸念―ワクチン提供・東京五輪

 東京五輪・パラリンピックに参加する各国選手団に新型コロナウイルスワクチンが提供されると突然発表された。6日夜に取材に応じた関係者は「安心安全な大会を進める上で非常に重要」(丸川珠代五輪担当相)などと前向きに受け止めた。
 詳細な計画は明らかになっていないが、約200カ国・地域の選手団にワクチン接種が進めば、選手と日本国民の双方が抱える不安を和らげることにつながる。世界的にワクチン供給が進んで信頼性が高まるにつれ、接種を運営の前提としない東京大会に対して懸念の声が海外から聞かれるようになっていた。ある国際競技団体の役員は、関係者が共有する雰囲気について「ワクチンがあれば、自分も他人も守れるという考えが常識的だ」と話す。
 だが、選手に事実上の優先接種が行われる一方で、日本のボランティアや観客、数万人に及ぶとみられる選手団以外の海外関係者にワクチンが行き届かなければ、全体としての効果は十分ではないだろう。日本国内で接種が進まない中で選手が「特別扱い」を受けることへの不満も招きかねない。
 この点を問われた丸川氏は「(国民への)接種が今までと違うペースで進んでいくと聞いている。そのペースの中で、どのように選手に打てるかということではないか」と述べた。今回繰り出した一手が、間違いなく大会開催を後押しするかどうかは不透明だ。