2021-04-23 07:38

北京五輪への当局者派遣中止を=信教の自由抑圧で勧告―米政府機関

 【ワシントン時事】米政府独立機関の米国際宗教自由委員会(USCIRF)は21日公表した年次報告で、中国政府による宗教的少数派への抑圧を厳しく批判した。その上で、来年の北京冬季五輪に関し「信教の自由抑圧が続くなら政府当局者を派遣しない」と表明するよう米政府に勧告した。
 報告は、中国・新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒弾圧について「国際法上のジェノサイド(集団虐殺)に該当し得ると、専門家は懸念を提起している」と指摘。チベット仏教徒やキリスト教徒への迫害にも言及し、五輪への当局者派遣中止のほか、信教の自由侵害に関与した中国当局者への制裁を規定する既存法を活用した対応を促した。
 北京冬季五輪をめぐっては、米議会からもボイコットを求める声が上がっている。上院外交委員会は21日、中国への包括的対応を定めた「戦略的競争法案」を賛成多数で可決。米メディアによると、採決に当たり、米選手団ではなく当局者の五輪派遣を禁じる修正が加えられた。 
 国務省が先月公表した人権報告書も、新疆ウイグル自治区で「ウイグル族らに対するジェノサイドや人道に対する罪があった」と断定した。国務省のプライス報道官は、ボイコットを同盟国と議論する可能性に言及。中国政府の猛反発を招き、米政府はその後「議論はしていない」(サキ大統領報道官)と表明するなど、火消しに追われた。