2021-04-14 17:02

迫る大会、医療態勢「調整中」=ボランティア確保も流動的―東京五輪100日前

 東京五輪開幕が100日後に迫る中、競技会場などで選手らの治療に当たる医療従事者の態勢がいまだ定まらない。大会組織委員会は近く医師らの派遣を要請する予定だが、新型コロナウイルス下でどこまで協力を得られるかは見通せない。辞退者が相次ぐ大会ボランティアの動向も流動的だ。
 延期前の計画では、競技会場や練習場などに130カ所以上の医務室を設置し、医師や看護師など約1万人が従事するとしていた。組織委は東京都内の大学病院などに派遣協力を求めていたが、延期で「全くの白紙」(組織委担当者)に。感染拡大で地域医療に余裕はなく、期間中の医療態勢は現在も「調整中」とする。
 海外観客の受け入れ見送りで想定人数は減ったものの、国内外の選手や関係者だけで数万人規模に上る。選手らへの定期的な感染検査など、当初は想定していなかったコロナ対策の負担も増えた。
 組織委は2月、競技会場で指揮を執る医療責任者などに向けた説明会を開催した。参加したのは延期前に参加の意向を示していた医師ら。医療責任者には救急医など最前線でコロナ対応に追われる人もおり、現状について「何も決まっていない」と口をそろえる。組織委の担当者は「医療計画は開催直前まで調整が続く」と語った。
 大会を支えるボランティアについても、正式な参加者数を見通せていない。組織委の森喜朗前会長による問題発言後には多数の辞退者が出た。宮城県が1月に行った都市ボランティアの意向調査では辞退や音信不通が相次ぎ、県は参加人数の見積もりを当初の1700人から1100人に減らした。
 組織委は、約8万人が参加を予定していた大会ボランティアについて、「辞退は一部で開催に支障はない」とするが、昨夏以降は意向確認をしていない。今月中にも作業日程のシフト表を予定者に送り、参加可能かどうかを確認する予定で、正確な人数を把握できるのは5月末となる見通しだ。不足した場合の備えについては「検討中」としている。