2021-04-14 18:10

コロナ拡大、五輪に不安=欧米メディア指摘、世論もさえず―東京五輪100日前

先進7カ国(G7)首脳のテレビ会議に出席する菅義偉首相=2月19日、首相官邸(内閣広報室提供)
先進7カ国(G7)首脳のテレビ会議に出席する菅義偉首相=2月19日、首相官邸(内閣広報室提供)
 東京五輪開幕まで100日。日本政府は2月の先進7カ国(G7)首脳のテレビ会議で、今夏の開催方針に支持を取り付けた。ただ、新型コロナウイルスの感染が収束しない中、欧米メディアは世界から多数の選手や関係者が集まる大会への懸念を伝え、各国世論も不安を抱えている。
 ◇「成功は至難」
 「聖火が始まった。この日は来るべきではなかったという人もいる」。米CNNテレビは3月、福島県から始まった聖火リレーをこう報じた。女性蔑視発言による組織委員会会長の辞任や、原発事故で今も多くの人が避難を強いられていることを紹介。さらに高齢化や東京一極集中が進む中でコロナ禍に見舞われており、「約200カ国から参加する選手1万1000人以上の安全を確保しながら、世界で最も複雑なスポーツイベントを成功させることは至難の業だ」と指摘した。
 フランスのAFP通信は今月、感染再拡大で大阪府の公道で聖火リレーができなくなったことを伝えた。「五輪関係者はコロナの中でも大会を開催できるよう(対策をまとめた)ルールブックを公表したが、既に幾つかのテストイベントは延期を余儀なくされている」と説明。英BBC放送も「より感染力の強い変異株が第4波を引き起こす懸念が高まっている」と警鐘を鳴らした。
 3月公表の公益財団法人「新聞通信調査会」の5カ国世論調査では、五輪を「中止すべきだ」「さらに延期すべきだ」という回答が各国で計7割を超え、タイでは95.6%に上った。米国は74.4%、最も低いフランスでも70.6%だった。
 過去の五輪で最多の選手を送り込んできた米国のバイデン大統領は新型コロナ対策を重視しており、「安全に開催できるかは科学に基づくべきだ」と発言。五輪の1年延期が決まった際、トランプ前大統領が「非常に賢明な決断だ。大成功するだろう」とツイートしたのとは対照的だった。
 菅義偉首相が五輪にバイデン氏を招待する考えを表明した際も、サキ大統領報道官は「まだ受けていない。夏の外遊の予定がどうなるか予測できない」と述べるにとどめた。一方、2002年ソルトレークシティー冬季五輪の組織委員会会長を務めたロムニー上院議員は「開催すべきだ。選手は最高潮に向けて一生を懸けて練習してきた。観客を制限し、私たちはテレビで観戦しよう」と訴えた。
 ◇政治にも揺れる
 北朝鮮は新型コロナを理由に東京五輪不参加の方針を決めた。医療体制が乏しく、ウイルス流入を警戒して封鎖措置を取っているためだ。南北融和の契機としたい韓国の思惑は外れた。
 22年2月には中国で北京冬季五輪が開幕する。米国やカナダの議会では、新疆ウイグル自治区での人権侵害を理由に開催地の変更を求める声が出ている。米国務省のプライス報道官はボイコットを同盟国などと協議すると発言し、中国の猛反発を招いた。今後の展開によっては、米中対立が東京五輪に影響する可能性も否定できない。 
トーチを掲げて走る聖火ランナー(中央)=3月25日、福島県いわき市
トーチを掲げて走る聖火ランナー(中央)=3月25日、福島県いわき市