2020-12-04 10:09

東京五輪、ワクチン以外「徹底的に」=新型コロナ対策で渋谷教授

 【ロンドン時事】公衆衛生の専門家で英キングス・カレッジ・ロンドン教授の渋谷健司氏が3日までに時事通信の取材に応じ、新型コロナウイルスのワクチンが初めて英国で認可されたことについて見解を語った。
 渋谷氏は来年7月開幕の東京五輪への影響を「開催には追い風であるが、7月の時点では日本を含めて世界の多くの国で感染が依然として続く。ワクチンに加えて検査、追跡、隔離などを効果的に活用し、徹底的にウイルスを抑え込む体制を目指す必要がある」と指摘した。
 日本は11月に行われた20カ国・地域(G20)の首脳会議(サミット)で、「人類が新型コロナを克服した証しとするため」東京五輪・パラリンピックを成功させる決意を示し、支持を受けた。しかし渋谷氏は、来夏も感染は終息しないとみており、東京大会は「『世界がコロナを克服した証し』とはならず、開催も非常に困難であろう」との見方を示す。
 五輪・パラリンピックの参加が見込まれる選手の中には、ワクチンの接種に否定的なケースがありそうだ。渋谷氏は「コーチや選手の意向が強い欧米では、ワクチン接種に加えて五輪への参加に関しても同様の問題が生じるであろう。信頼や安全性を担保するために、(ワクチンの)販売開始後も常に最新情報を公開すべきだ」と述べ、情報公開の重要性を説いている。