飾らない黒いスーツの衣装に身を包んだチェンの演技は圧巻だった。特筆すべきは後半の４回転ルッツ―３回転トーループ。リスクのある連続ジャンプを鮮やかに着氷して、両拳を握った。
　表現力や芸術性などを１０点満点で示す演技構成点は、５項目のうち４項目が９点台後半。「ものすごく満足している。五輪に戻ることができて、とにかくうれしい」。重圧が増す五輪の大舞台で、羽生が持っていたＳＰの世界歴代最高得点を２年ぶりに更新した。
　１８歳で臨んだ平昌五輪は雰囲気にのまれてＳＰでつまずき、５位に終わった。「この４年間は周囲に支えられ、いろいろ勉強になった。とにかく今はできることに集中したい」。両親が生まれた思い入れのある中国で、世界選手権３連覇の力をまずは示した。