2020-12-03 10:10

五輪の追い風、早計か=核心に踏み込まないIOC―コロナワクチン

 延期された東京五輪まで約8カ月の時点で、新型コロナウイルスのワクチンが初めて英国で認可された。米国や他の欧州、日本でも接種可能となる流れにあるが、五輪への追い風を語るのは早計とみられる。
 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は11月中旬に来日した際、ワクチンについて重ねて言及しながら核心に踏み込まなかった。五輪のコロナ対策を語る際、最近頻繁に口にする言葉を使って「ツールボックス(道具箱)に入れられるかもしれない」と述べるにとどめた。
 入手可否や安全性などがはっきりしない段階でワクチンを開催のよりどころにはできないだろう。バッハ会長は接種の優先順位、選手の意向など不確定な要素に触れつつ、「入手可能ならIOCが費用を持つ」とアピールした。一方で「(大会参加への)必要条件にしないが接種を促す」と述べ、判断は他に委ねた。
 大会運営を担う組織委員会は日本政府、東京都とコロナ対策の策定を進める中で、ワクチンについては静観している。「回ってきても打たない。安全性が分からない」と個人的に話す幹部もいる。
 東京五輪の準備状況を監督するIOCのコーツ調整委員長は「アスリートには果たすべき役割がある。ロールモデル(模範)にしたい」と言った。選手が積極的にワクチンを接種することで他の選手に働き掛け、それによって一般の人にも接種が広がるのではないかという。この言葉を当のアスリートはどう受け止めるだろうか。