2021-03-11 13:33

五輪の安心安全、どう実現=バッハ会長、問われる手腕―IOC総会

 この8年間、自身が主導した五輪改革の概要を説明し終えたバッハ会長。質問の有無を尋ねると、世界各地からオンラインで参加した数十人が「挙手」の機能を使った。しかし、大勢の委員から出てきたのは会長への賛辞だけ。
 総会の最後に行われた会長選の信任投票では、有効票94のうち不信任はわずか1。スポーツ界でバッハ会長が誇る権力の大きさが、数字で示された。再任に向けたあいさつを終えた直後、最古参委員のパウンド氏からねぎらいの言葉を受けると、会長は声を震わせて謝意を述べた。
 予想もできなかった新型コロナウイルスの感染拡大により、東京五輪・パラリンピックは近代五輪で初めての延期となった。専門家さえ今後の感染状況を予測するのに苦しむ中、選手だけで1万人以上が国内外から参加する巨大イベントを安全に開催できるのか、多くの人々が疑問に思っている。「(開催を)疑う理由はない」と断言するバッハ会長の言葉は、美辞麗句ばかりが飛び交った総会と同様、浮世離れして聞こえる。
 バッハ会長は「参加者全員の安心と安全が最優先」と強調するが、日本の世論はコロナ禍での五輪開催に厳しい目を向けている。東京五輪は、バッハ会長の1期目で最後の大仕事。開催国の共感をどう得るのか、手腕が問われる。(ロンドン時事)。