2021-03-11 12:39
開催国日本の世論、どう変える=五輪実施に課題山積―IOCバッハ会長
バッハ会長は2020年東京五輪・パラリンピック開催が決まった13年9月の総会で就任した。
批判されて久しい五輪の肥大化にブレーキをかけるロゲ前会長の路線を踏襲。開催国のコスト削減や男女平等の精神など時代に合った改革をアピールし、大会の価値を高めようと努めた。
巨額のテレビ放映権料に支えられたIOCの財政は潤い、スポーツ界への分配金は右肩上がり。ドーピング問題で揺れるロシアに対しては、選手が個人資格で五輪に出場する道を残して難局を乗り切った。着実な実績が、対立候補のいない無風の再選につながった。
最終任期となる2期目は、今夏の東京五輪閉幕翌日から。その前の大仕事が、新型コロナウイルス対策を施して大会を予定通り実施することだ。近代五輪で初の延期は、開催国の日本に多額の追加経費を背負わせた。一方でコロナ禍は収束せず、日本の世論調査では今年になって開催に反対する声が高まっている。
バッハ氏は開催断念の可能性を問われると「IOCの仕事は五輪を開催することで、中止ではない」と強調する。しかし安心で安全な大会の実現の具体的方策について、明確には答えていない。強行開催のイメージがつけば、出場選手の心情にも影響する。「アスリートファースト」を掲げるIOCのトップとして開幕まで残り4カ月余り、課題とどう向き合って風向きを変えるのか。世界が注目している。 (ロンドン時事)
批判されて久しい五輪の肥大化にブレーキをかけるロゲ前会長の路線を踏襲。開催国のコスト削減や男女平等の精神など時代に合った改革をアピールし、大会の価値を高めようと努めた。
巨額のテレビ放映権料に支えられたIOCの財政は潤い、スポーツ界への分配金は右肩上がり。ドーピング問題で揺れるロシアに対しては、選手が個人資格で五輪に出場する道を残して難局を乗り切った。着実な実績が、対立候補のいない無風の再選につながった。
最終任期となる2期目は、今夏の東京五輪閉幕翌日から。その前の大仕事が、新型コロナウイルス対策を施して大会を予定通り実施することだ。近代五輪で初の延期は、開催国の日本に多額の追加経費を背負わせた。一方でコロナ禍は収束せず、日本の世論調査では今年になって開催に反対する声が高まっている。
バッハ氏は開催断念の可能性を問われると「IOCの仕事は五輪を開催することで、中止ではない」と強調する。しかし安心で安全な大会の実現の具体的方策について、明確には答えていない。強行開催のイメージがつけば、出場選手の心情にも影響する。「アスリートファースト」を掲げるIOCのトップとして開幕まで残り4カ月余り、課題とどう向き合って風向きを変えるのか。世界が注目している。 (ロンドン時事)