2022-02-11 20:14

女子の主役にドーピング=五輪中に発覚で混乱〔五輪・フィギュア〕

 北京五輪の主役の一人であるフィギュアスケート女子で15歳のカミラ・ワリエワ選手(ロシア・オリンピック委員会=ROC)が、昨年12月のドーピング検査で陽性反応を示したことが明らかになった。大会期間中の団体と個人戦の間に違反が判明する異例の事態。AFP通信によると、ROCのポズドニャコフ会長は地元メディアに対し、「検体処理のタイミングに重大な疑問がある」と述べた。
 ワリエワ選手は今季、世界歴代最高得点を次々と更新。7日まで実施された北京五輪のフィギュア団体でも、金メダル獲得の立役者となった。陽性反応を示したのは、昨年12月25日に優勝を飾ったロシア選手権で採取された検体。ストックホルムにある世界反ドーピング機関(WADA)の公認検査機関で分析の結果、今月8日に禁止物質トリメタジジンが検出されたと報告があった。
 ロシアは2014年ソチ五輪で、検体のすり替えやデータの改ざんなど組織ぐるみの違反が発覚。今大会も潔白を証明できた選手が個人資格で参加している。結果的に検体採取から処理までに1カ月半近くを要したことで混乱が大きくなり、ポズドニャコフ会長は「誰かが団体戦が終わるまで検体を保持していたようだ」と疑問を投げ掛けた。
 国際オリンピック委員会(IOC)などはスポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議を申し立てる方針。ROCの団体金メダルは維持されるのか、ワリエワ選手が15日に始まる個人戦に出場できるのかはCASの裁定次第で、不透明な状況だ。冬季スポーツの祭典がまたもドーピング問題で揺れている。