2021-03-04 10:02

海外客の扱い、世論に配慮=上限めぐりせめぎ合いへ―東京五輪

 コロナ禍での東京大会開催へ向け、懸案だった観客の扱いは国内外で分けて判断することになった。政府関係者によれば、海外からの観客受け入れは見送る方向。5者会談では25日までに決めることになり、組織委の橋本会長は「国外(の観客)をどうするか決めることで国民の安心、安全につながる」と語った。
 先にIOCのバッハ会長は観客制限の判断について、「4月か5月初め」と言及した。これを受けた橋本会長は3月中にもと発言し、5者会談で合意を取り付けた。組織委幹部は世界におけるコロナ感染の状況を踏まえて、「海外から観客が入らないとなれば国内のムードが良くなる可能性もある」とみていた。
 政府と都、組織委が昨年12月にまとめたコロナ対策の中間整理では、入国時の待機免除や公共交通機関の利用など海外からの観客対策が不安視されていた。変異ウイルスの流行もあり、大会関係者は「入国させてしまうとコントロールできない」として、受け入れは難しいとの見方を示す。
 年明けから海外メディアで中止論が出て、2月には組織委の森前会長による女性蔑視発言や後任決定でつまずいた。ボランティアや聖火ランナーの辞退が相次ぎ、開催への支持は下がっている。それだけに、世論を少しでも上向かせる狙いがあるのだろう。
 5者会談では国内の観客を含む上限の判断は4月中とし、先送りした。チケット収入が関わる日本側と、開催を優先させるIOCとのせめぎ合いになりそうだ。五輪関係者は「無観客か、それに近いところが落としどころになるのでは」と言う。