2022-02-12 07:44

誰もが憧れる美しさ=平野歩夢選手、独特の感覚でスタイル確立〔五輪・スノーボード〕

 スノーボードの男子ハーフパイプで金メダルを獲得した平野歩夢選手(23)=TOKIOインカラミ=は、小さい頃からこの競技への熱い思いと、目標達成へ向かう心の強さがあった。
 小学校低学年で初めてスノーボード教室に入った。そこでは手首の骨折を隠しながら滑っていたという。周囲が気がついた時には「トレーニングを続けたい。痛いと言えば帰らないといけないから」と言葉を返した。誰よりもうまくなりたいと熱中した。
 成長するにつれて向上心は高まった。子供の頃の平野歩選手を指導した工藤佳人さん(54)は「イメージ力がすごい。理論的に考えて頭と体を一致させられる」と話す。その独特の感覚と、他の追随を許さない練習量が金メダリストをつくり上げた。
 スノーボードで高得点を出すためには、技の回転数を増やすことに重点を置かなければならない。平野歩選手は「自分のスタイル」を重視しながらも得点が出せる。パイプのボトムを滑る姿勢、空中へ飛び出す時の格好は誰より美しい。ボードとの一体感も高いとされる。
 多くの選手は強引に体を使って回そうとするが、工藤さんは「歩夢は板を使ってきれいに回せる」と称賛する。戸塚優斗選手(20)も「ぐるぐる回る中でも格好よさを出せるのが歩夢君」と話す。多くの競技者が憧れを抱く存在だ。日本のスノーボード界の中心にいる23歳が、金メダルで新たな歴史を刻んだ。