2021-02-25 18:54

聖火リレー、運営めぐる判断に難しさも=両立目指す密集回避、機運醸成―東京五輪

 聖火リレーのコロナ対策について、組織委の橋本聖子会長は「各都道府県の感染状況は異なる。きめ細かな対応が重要」と強調した。感染状況次第では無観客での点火セレモニーのみとする可能性を示し、過度な密集が発生した場合のリレー中断にも踏み込んだ。だが、判断基準は必ずしも明確ではなく、実際の運営では現場で難しい対応を迫られる可能性も否定できない。
 沿道で度を越した密集が生じた場合、組織委と各都道府県の実行委員会が協議してリレー実施可否を判断する。春に実施予定の複数の自治体からは「最前線に立つのはわれわれ。何をもって『密』なのかはっきり示してほしい」「どういう状態なら中断されるのか」と懸念の声も上がった。
 混雑回避のため、各日のセレモニー参加を事前予約制にする。著名人ランナーを空間のある公園内などに割り当て、実際に走る場所の公表はスタートの30分前にする方針だ。
 ただ、「どれくらい人が集まるかは正直、想像がつかない」(福島県)のが現実。組織委はインターネットでのライブ中継視聴を呼び掛ける一方で、「(観覧)自粛をお願いするスタンスは取っていない。密が回避できるなら応援していただきたい」とのメッセージも送る。西日本の自治体は「来てほしいけど密集させたらいかん。矛盾したところはある」と言う。
 年末年始に比べて感染状況が改善してきたある県の担当者は「県民に自粛を要請する中、リレーは特別という説明はおかしい」と厳しく指摘する。本来は大会に向けた機運を徐々に盛り上げるはずの聖火リレーだが、対応を誤れば反発を招く結果にもなりかねない。