2021-02-19 07:07

曲折少なく、橋本氏に落着=透明性には疑問も―東京五輪新会長

 森前会長が失言で辞任に追い込まれ、川淵氏への後任打診が密室人事と批判されただけに、透明性の確保が注目された新会長人事。候補者検討委員会での選考で、各委員から支持する声が圧倒的に多かった橋本氏に難なく落ち着いた形だ。
 検討委は「五輪に深い造詣がある」「国際的な知名度がある」など新会長に求められる五つの資質を掲げた後、各委員に適任者を1人以上挙げるよう求めた。計9人が候補となったが、検討委の座長を務めた御手洗名誉会長を除く委員7人のうち6人が橋本氏を推したという。特に選手出身の委員からの支持が強く、「全会一致で会長にふさわしいという結論」(御手洗座長)に至るのに、ほとんど曲折はなかったようだ。
 検討委の議論では、橋本氏が7年前にフィギュアスケート男子の高橋大輔選手にキスを強要したと報じられた件は触れられなかった。政治的距離の近い森氏の女性蔑視発言に対して橋本氏があまり強い対応を取らなかったことも重視されなかった様子。会長選定への政治介入も取り沙汰されてきた。
 組織委は検討委の会合予定さえ公表せず、委員の名前が明らかにされたのは橋本氏の会長就任発表後だった。「透明性よりも、委員が本音で自分の考えを述べる環境をつくることが大事」とは、委員に名を連ねた日本オリンピック委員会(JOC)の山下会長。御手洗座長は「(人選に)オープンで透明度の高い手法を使った」と述べたが、議論の中身がどこまで開かれたかは疑問も残る。