2021-02-19 07:04

世論の逆風変えられるか=猶予許されぬ橋本新会長―東京五輪

 コロナ禍で夏の開催まで5カ月しかなく、性差別問題も重なった逆風の中で橋本聖子氏が大会組織委員会のトップを託された。就任会見で「今の社会の空気を変えていくことが私のミッション」と言い切った。成果を出すために猶予は許されない。
 会見冒頭で東京都民と国民、アスリート、ボランティアと聖火ランナー、スポンサーへ向けて順に語り掛けた。開催に向けた世論の支持は、コロナに加えて森前会長の女性蔑視発言で低い水準をさまよっている。現状への危機感をにじませた。
 会長人事混迷のさなか、組織委幹部は「開催への支持率を上げられる人を」と言った。橋本新会長は「先進国の日本が東京大会を通じて何をすべきか。それを明確に打ち出さない限り受け入れてもらえない」と語った。具体策が必要となる。
 アスリート出身で五輪大臣も経験した女性として、森氏の失言で組織委、ひいては日本が失ったものを取り戻す重責も担う。理事の女性比率4割、男女平等推進チームを今月中に打ち出すと明言し「結果を出していくことが重要」と語った。
 本人は「疑念を持たれないような行動を取っていく」と語ったが、政府からの介入や、自ら「政治の師」と仰ぐ森氏の影響力をいぶかる向きもある。五輪関係者は「ベストではないが、ベターな選択」と評した。世の風向きを変えられるか。