2021-02-17 21:17

首相意中、五輪成功へ期待=橋本氏受諾なら閣僚辞任

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の次期会長として候補者検討委員会が一本化する方向で調整に入った橋本聖子五輪担当相は、菅義偉首相の「意中の候補」とされる。政府・与党は、五輪メダリストかつ女性の新会長就任で、一連の混乱が収束し、大会成功につながると期待している。
 橋本氏は17日夜、東京都内で記者団に対し「プロセスにのっとっていま手続きが進められている。人事に関わることであり、それ以上申し上げることはない」と述べた。
 自民党中堅は17日、橋本氏について「首相の強い意向だ」との認識を示した。首相側近も一本化の動きに先立ち「個人的には橋本さんでいい。アスリートだし、政治家だし、閣僚もしている」と語っていた。
 菅政権は後任について「政府から独立した法人であり、自ら判断されるべきもの」(加藤勝信官房長官)と組織委に委ねる立場を示していたが、額面通りに受け止める向きは少ない。辞意表明した森喜朗会長が日本サッカー協会元会長の川淵三郎氏を指名した際、首相は「若い人か女性がいい」と待ったをかけたとされているためだ。
 橋本氏が会長に就任する場合、五輪憲章が「政治的中立」を求めていることから、最低でも五輪相辞任が必要とみられている。自民党会派離脱か離党が必要との指摘もあるが、「そこは憲章の解釈の問題だ」(党関係者)という。後任には丸川珠代元五輪担当相の再登板が既に取り沙汰されている。
 仮に橋本氏が要請を断り、人選が白紙に戻れば組織委の混乱が続くとともに、政権運営にも痛手となる。自民党幹部は17日、橋本氏について「五輪のために生まれてきたような人だ。頑張ってもらわないといけない」と語った。 
 橋本氏をめぐっては、2014年2月にあったソチ冬季五輪閉会式後のパーティーで、フィギュアスケート男子の高橋大輔選手にキスを強要したと週刊文春に報じられたことがある。当時、橋本氏は事務所を通じて「キスを強制した事実はない」と「セクハラ」を否定するコメントを発表した。