2021-02-16 20:28

かすむ「透明性」=もやもや残る会長人事―東京五輪組織委

 大会組織委員会の後任会長人事は、非公開の候補者検討委で始まった。座長の御手洗冨士夫名誉会長を除くメンバーは公にされていない。武藤敏郎事務総長が終了後に協議の大まかな内容を示したが、選考の旗印としていた「透明性」はかすんでいる。
 森喜朗氏による川淵三郎氏への後任打診が密室人事と批判され、首相官邸が難色を示したこともイメージを悪くした。新型コロナウイルス感染の収束が見通せない状況で、今夏の開催へ向けた世論も逆風。その中で検討委を公開しなかったことに対し、組織委幹部は「初歩的ミス」と顔をしかめる。
 12日に理事、評議員らを集めた臨時の「合同懇談会」で検討委設置を決め、委員選定は御手洗座長との協議とした。しかし、大会関係者は「堂々とやるべきなのに手順が違う」と手厳しい。
 開催危機も取り沙汰される中で、重視すべきは世論だろう。ある五輪関係者は「会長がいなくても五輪はできるし、誰でも一緒。(開催への)支持率を上げられる人を」と語った。そのためにも後任会長人事の選考は公開するべきだと言う。
 初会合では、新会長に求められる資質について御手洗座長の原案を基に議論し「五つの観点」を公表した。これを踏まえて人選に進むというが、政治介入への疑念もある。会長候補を選ぶ検討委がオープンでなければ、もやもやは残る。