2021-02-12 20:39

森会長辞意・識者談話

 ◇具体策の提示重要
 日本スポーツとジェンダー学会の藤山新理事長の話 大会組織委員会が、オリンピック憲章にもある性別や人種などあらゆる差別撤廃の姿勢を社会に示す役割は大きい。組織委や日本オリンピック委員会の理事の女性比率が20%台にとどまっている現状を見ても、国内の女性の社会進出は遅れている。国際社会は組織として今回の発言をどう受け止めているかに注目しており、次の会長が誰であろうと、男女平等など差別撤廃に向けた明確なメッセージと具体策を示せるかが重要だ。
 ◇強烈な世界とのギャップ
 坂上康博一橋大教授(スポーツ社会学) 日本はジェンダーギャップ指数121位の国なので、それがこういう形で表れたのは自然でもあるが、五輪の理念をトップがこれほど理解していない国が五輪を開こうとしていたのかと思われている。そうした世界の反応とのギャップを強烈に感じた。組織の在り方としても、森会長が文字通り原動力として動いてきて、超越的な権限を持つ「裸の王様」にしてしまったことも問題。安倍晋三前首相をはじめとする政治主導で進めてきた結果でもある。大会まで時間もないし、後任は誰でもあまり変わらないのでは。
 ◇国内外の世論に押された
 上野千鶴子東京大名誉教授(社会学)の話 本人も周囲も幕引きできると甘く見ていたが、国内外の世論に押されて収まりがつかなくなったのだろう。問題となった発言は10年前なら許されたかもしれないが、今回の件で、性差別的な言動も権力者にとって致命傷になることがはっきり示された。女性差別を見逃さないという世論が高まってきた証拠だ。ただ、現役アスリートからの発言が少ないことが気になる。