2021-02-12 22:21

森会長が辞任表明=後任の候補者検討委設置―川淵氏に政府難色・東京五輪組織委

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が12日、女性蔑視発言の責任を取って辞任する意向を表明した。同日、東京都内で開かれた理事と評議員、監事を集めた臨時の「合同懇談会」で「私の不適切な発言が原因で大変混乱させてしまった。五輪開催の準備に、私がいることが妨げになってはいけない」と述べた。
 合同懇談会では、新会長選出に向けた候補者検討委員会を設置することを決めた。委員長には御手洗冨士夫名誉会長が就く。武藤敏郎事務総長は記者会見で「後任会長を早急に決める必要がある。国民にとって透明性のあるプロセスでなければならない」と語った。菅義偉首相は首相官邸で「国民や世界に歓迎され、ルールと透明性に基づいて決定されるべきだ」と述べた。
 後任候補に橋本聖子五輪担当相が浮上している。他にオリンピアンの小谷実可子氏、山口香氏、高橋尚子氏、室伏広治スポーツ庁長官らの名前も取り沙汰されている。
 11日、森氏に後任を依頼された組織委評議員で日本サッカー協会相談役の川淵三郎氏(84)は就任に前向きな姿勢を示していたが、首相官邸が難色を示した。川淵氏は12日に一転して辞退した。 
 組織委は男女平等を推進するプロジェクトチーム(PT)の発足を決めた。理事会、評議員会において女性比率を高めることや、副会長以上の女性登用に努力することも合わせて確認した。
 森氏の今後のポストについて、武藤事務総長は「現時点でそういう話は出ていない」とした。
 森氏は3日の日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言した。4日に記者会見で釈明し発言を撤回したが、アスリートや大会スポンサーなど国内外で批判が高まり、聖火ランナーやボランティアに辞退者が出るなど大会開催へ向けて影響が避けられなくなっていた。
 国際オリンピック委員会(IOC)は当初、森氏の謝罪で問題は終わったとしていたが、9日に一転して批判。東京都の小池百合子知事は、森氏の発言を理由に、今月中に予定されているトップ級4者会談を欠席する意向を10日に示した。
 元首相の森氏は大会招致から関わり、2014年1月の組織委発足時から会長を務めていた。