2021-02-05 09:02

さらに強まる反感=森会長、響かない釈明

 女性を蔑視したと受け取れる発言を「五輪・パラリンピックの精神に反する不適切な表現であり撤回する」と釈明した森喜朗会長の会見は、響かなかった。約19分で打ち切られ、居直ったような場面も。「辞任する考えはない」と言い切った。
 これまで約7年にわたる献身を主張した。五輪開催国の組織委トップとして適任かと問われると逆に聞き返し、適任ではないとの答えには「じゃあ、そういうふうに承っておく」とあしらった。
 会見の最後に「謙虚に受け止めている」と口にしたが、そう感じた人はどれほどか。中継を見た大会関係者は「ひどかった。これで(五輪開催への)世論の支持もますます下がる」と頭を抱えた。コロナ禍に収束気配はなく、反感は強まる。
 組織委の関係者は「即座に辞めるべきだ」と厳しい口調で話していたが、辞任否定を受けて「辞めると(五輪が)失敗したとなり、自分の顔がつぶれるからだろう」と言った。内部に突き上げる動きも見えないという。国や自治体などからの寄り合い所帯を評し、「(会長に)意見する人が周りに誰もいない」と嘆いた。
 森会長は自身の不適切な表現について「男女を区別するような発言をしたことだ」との認識は示した。女子選手の比率を増やし、混合種目を導入するなど、男女均衡へ向かう五輪の潮流に逆行している。五輪憲章は根本原則として、いかなる差別も認めていない。
 ある国際競技団体(IF)の幹部は、内部から懸念を示すメールを受け取ったと言う。「海外からの圧力がどうなるか」と語った。性差別への意識は日本の比ではなく、火だねはくすぶっている。