2021-02-03 08:51

五輪へ刻々、世論下振れ=差し迫る開催準備―緊急事態宣言延長

 今夏の東京五輪が刻々と迫る中、緊急事態宣言が延長される。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う年明けの再発令以降、世論は下振れし、海外からも否定的な声が聞こえ始めた。大会組織委幹部は「1カ月延長なら大丈夫」と言うが、延長期限から開幕まで約4カ月半。風向きは依然悪い。
 五輪の聖火リレーが3月25日に福島県からスタートする。宣言中や外出自粛が求められる状況の地域ではランナーの走行を取りやめ、各地で聖火の到着を祝う式典のみに縮小する予備案も組織委は検討しているが、判断の時期は迫る。
 組織委は走行日程の1カ月前をめどに対応を決める見込み。ある自治体の聖火リレー実行委担当者も「警備や発注資材のキャンセル料がかかるので1カ月前には決めてほしい」と話した。リレーが3月下旬の栃木県は宣言が解除されるが、4月前半に走行予定の岐阜県、愛知県、大阪府は延長となる。
 仮設設備の工事がまだ残っている競技会場もある。大会関係者は「準備に3カ月は必要」と話しており、宣言延長で状況はより切迫する。
 1月上旬の宣言再発令後、欧米の有力メディアが可能性も含めて五輪中止について次々報じた。国際オリンピック委員会(IOC)と日本政府は火消しを図ってきたが、大会関係者は組織委などの内情を「みんなうろたえている」と表した。
 大会でのコロナ対策を踏まえた関係者向けの「プレーブック」初版が3日に公表される。観客の扱いなど肝心な策が決まっていない時点で、最終版ではない資料を出すことに焦りも少し見える。