2021-12-27 07:56

中国、橋本会長らを「歓迎」=対日批判は抑制―北京五輪

 【北京時事】来年2月から開催される北京冬季五輪・パラリンピックで、東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長らが出席することに関し、中国外務省の趙立堅副報道局長は24日の記者会見で「歓迎を表明する」と述べた。一方、日本政府関係者の派遣見送りについて「スポーツを政治化しないという約束を実行するよう日本側に促す」と不快感を示した。
 趙氏は「中日が双方のオリンピック開催を相互に支持するという約束」の履行も求めたが、対日批判は抑制した。中国は米英などが新疆ウイグル自治区の人権侵害などを理由に表明した「外交ボイコット」に反発したが、追随する国は多くなく、問題を騒ぎ立てるのは得策ではないと判断した可能性がある。日本側が「外交ボイコット」という言葉を使わないなど一定の配慮が見られることも影響したもようだ。 
 中国は東京五輪で、中国オリンピック委員会主席を兼ねる苟仲文・国家体育総局長を派遣した。2014年ソチ冬季五輪の習近平国家主席、18年平昌冬季五輪の韓正筆頭副首相と比べ出席者の格は下がり、新型コロナウイルスの影響や日中関係の冷え込みを考慮したとみられる。
 日中は政治体制が異なり、苟氏は政府の閣僚級とはいえ、政府を指導する共産党では上位約200人を占める中央委員の一人という位置付け。一方、北京五輪に出席する日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は五輪組織トップとして苟氏と同格で、橋本氏は参院議員も務める。中国側のメンツはほぼ保たれた格好だ。
 新型コロナの感染拡大を警戒する中国側は、「簡素」で「安全」な大会運営をうたい、大規模な「五輪外交」は行わない姿勢を示してきた。ロシアのプーチン大統領は15日、習氏とのオンライン会談で五輪開会式に出席すると確約し、対米結束を誇示。中国は、一部友好国首脳の出席をアピールし、米側陣営の異論をかき消す構えだ。