2021-12-19 07:19

20歳に日の丸の重圧=久保建英、あふれ出た涙のわけ―サッカー・クローズアップ

 あふれ出る涙が止まらなかった。東京五輪の3位決定戦でメキシコに1―3と敗れた直後、ピッチに倒れ込んだMF久保建英(マジョルカ)は人目をはばらかず号泣。GK大迫敬介(広島)ら多くの選手が慰めに来たが、20歳は起き上がれなかった。
 自身を客観視する冷静な口調がトレードマークなだけに、子どものような姿が印象的だった。1968年メキシコ大会以来、53年ぶりのメダル獲得は幻に。涙の理由を問われた久保は「分からない。あんなに泣くこともない。もう終わってしまったということ」。
 各年代別代表で「飛び級」を重ねてきた久保にとって、初めて自分がチームの中心となった大会だった。同世代と高め合い、共通の目標を目指した経験は少ない。同じ中盤の相馬勇紀(名古屋)は「普段は明るくて面白い。日本を背負って戦ったからこその涙なのかな」。重圧がのしかかっていた。
 前田大然(横浜M)は久保の人物像を「周りへの感謝を忘れない」と評する。年齢制限のないオーバーエージ枠の吉田麻也主将(サンプドリア)と遠藤航(シュツットガルト)は、所属クラブのプレシーズン戦に参加できないリスクを負って力を貸してくれた。だからこそ、首にメダルをかけられなかった無念さが残る。「こんなに悔しいこともない」と久保。
 2024年パリ五輪の出場資格を持ち、ワールドカップ(W杯)イヤーの来年はA代表でのさらなる飛躍が期待される。「個人的にはもっとやれると思う。ポジションをつかんで試合に出て、圧倒的な存在にならないといけないと思っている」。内なるものをさらけ出した涙を超えて、強くなった姿を見せる。