2021-01-25 18:19

オンライン交流で友好維持=ホストタウン、対応に苦慮―東京五輪

 東京五輪・パラリンピックの参加国・地域の選手らを受け入れるホストタウンでは、新型コロナウイルスの影響で直接交流できない状況が続いている。オンライン交流で友好維持に努める自治体がある一方、コロナ対策を優先せざるを得ず、苦慮する声も出ている。
 コロンビアの車いすバスケットボールの選手を受け入れる大阪府大東市は昨年11月末、地元の小中学生19人と代表選手らとのオンライン交流を初めて行った。子どもたちは選手らに「やっていて楽しいときやつらいことは」「日本に来たらやってみたいことは」などと質問。スペイン語で「がんばって」などのメッセージを書いたボードを掲げると、画面の向こうから「元気をもらえた」「ありがとう」と返ってきた。
 子どもたちは「ハンディがあっても自分のできることを全力でやっている姿を見てすごいと思った」などと述べた。市担当者は「ずっと交流がなかったので、それではレガシー(遺産)につながらない。ネットで第一歩を踏み出した形だ」と説明。8月の事前合宿まで応援動画などを送り、交流を続ける考えだ。
 政府はオンライン交流を勧める傍ら、受け入れ時の新型コロナ感染防止マニュアルを作るよう自治体に要請。選手団の滞在場所や移動経路を記した行程表策定などを求めている。
 福岡県は昨年末から県内自治体とウェブミーティングを開き、マニュアル作りに着手。一方、モンゴルのホストタウンである静岡県焼津市は同国側が予選大会を開けないため、「事前合宿の参加人数や合宿期間が決まらない」(担当者)といい、詳細を詰められない状況に苦慮する。
 東日本のある市の担当者は「ホストタウンとして一番したかったことは、選手と子どもたちが一緒に遊んだり、競技のデモンストレーションをしたりすること。今は選手がコロナにかからないようにすることが第一」と話した上で、「来てもらっても歓迎ムードをつくるのが難しい」と打ち明ける。