2021-11-09 17:05

厳戒の先に感じた「安心」=ボブスレー選手が見たテスト大会―北京五輪

 来年2月に迫った北京冬季五輪。今秋には各競技で本番を想定したテスト大会が行われた。2大会ぶりの五輪出場を目指すボブスレー男子の篠原凌(28)は、厳重な新型コロナウイルス感染対策を敷く現地の雰囲気を、「全然ストレスなく、競技に集中できた」と選手目線で振り返る。
 ボブスレーのテスト大会は10月25、26日に開催された。北京の空港ではさまざまな健康チェックの書類を提出し、鼻と口からPCR検査を受け、手続きを終えるのに約2時間。聞きしに勝る厳戒態勢に「これから始まるのだな」と身構えた。空港からはパトカーが選手バスを先導し、練習期間と試合を含め約20日間を過ごすホテルに入った。
 息が詰まるような生活を覚悟していたが、予想はいい意味で裏切られた。ホテルにはジムに加え、選手が自由に使える1周400メートルの陸上トラックも併設。食事はビュッフェ形式で、他の外国人選手がデザートの充実やヨーグルト、コーヒーなどを大会関係者にお願いすると、「融通を利かせてくれた」という。
 選手と関係者は毎日、PCR検査を受けており、ホテルの中では「誰かが感染しているのでは、という不安が一切なく、競技に安心して取り組めたのが一番よかった」。周囲への感染対策に神経質になっていた日本国内とは明らかに違った空気だった。
 実際のコースを計46本滑って特徴を少しずつつかんだ。これから欧州の大会を転戦する。五輪代表の決定は来年1月。「この1カ月で課題はかなり明確になって、みんな手応えを感じていると思う。また戻ってきたい」。篠原は北京で得た自信を胸に力強く語った。