2021-08-31 15:38

五輪断念、ガイドで再起=米岡の銅導いた椿浩平―トライアスロン〔パラリンピック〕

 8月28日に行われた東京パラリンピックのトライアスロン男子視覚障害で、銅メダルを獲得した米岡聡(35)=三井住友海上=に付き添ったガイドを、同じ所属先の椿浩平(29)が務めた。東京五輪を目指していたが、病気で望みを絶たれたトライアスロン選手。再起してパラリンピックの舞台を伴走者として踏んだ。
 視覚障害では、選手と同じ性別のガイドがレースを通してともにレースをこなす。スイムとランでは2人の腕をロープでつなぎ、バイクでは2人乗りのタンデムを使用。レース状況を把握して助言する役割も担う。米岡は「『絶対にメダルいけるから』と励ましてもらって、すごく力になった」と感謝。椿は「勝負どころを伝えた時、しっかり走りで応えてくれた」。ガイドにも与えられるメダルを手に、満面の笑みだった。
 日本代表として活躍していたが、2016年に脳に腫瘍が見つかって東京五輪を諦めた。米岡のガイドになった決断については「快く受け入れてくれて、やるからにはメダルを目指しましょうと。衝突する部分も、なかなか大変なこともあった」と振り返る。
 パラスポーツに触れる中で、新たな発見もした。「自分は少し病気を言い訳にしかけていた時があった。(パラでは)引き算で考えるのではなく、あるものでどうやって最大限のパフォーマンスを出すか。すごく熱意を感じた」。五輪を目指すだけでは分からなかったことを体感できた。
 今後は再び競技者として、24年パリ五輪に挑戦する。「最高の一歩を踏み出させてもらえた。この経験があったからこそ(パリに)行けました、と示せるように頑張りたい」と誓った。