2021-08-31 08:02

【アジア風・東京だより】金メダルと「国力」

◆第2回東京五輪が開催された。日本が獲得した金メダル数は過去最高の27個。米国と中国に次いで世界3位の好成績だった。
◆五輪を国家間の競争と捉えるのは時代遅れかもしれないが、金メダル獲得数は「国力」と関係するのだろうか。くしくも今回は、国内総生産(GDP)のランキングトップ3の米中日のメダル数が比例した。他の国々も先進国が圧倒的に多い。
◆1964年の第1回東京五輪では、小学生だった記者は、何度も聞く米国歌「星条旗よ永遠なれ」を大会歌と錯覚したほど米国のパワーは圧倒的だった。実はこの時も日本の金メダルは16個で米国、旧ソ連に次いで3位だった。当時、日本は敗戦から奇跡の復興を遂げ、筆者の記憶にも高度成長の高揚感があるほどの勢いだった。
◆今回は、日本が少子高齢化、成長鈍化という間逆の環境下で開催され、新型コロナウイルス感染爆発もあり高揚感がない。これが日本のピークで、今後は衰退していくのだろうか。どっこいここで終わりにはできない。今後、日本の金メダル獲得数は少なくなるかもしれないが、子供たちが世界に胸を張ることのできる一人ひとりの幸福度の高い格差の少ない「富国裕民」(高橋是清)へと国家目標を切り替える必要がありはしまいか。(龍)