2021-08-24 22:46

国枝主将、パラの象徴=コロナ対策道しるべも〔パラリンピック〕

 自国開催の開会式。日本選手団の主将で臨む喜びを、車いすテニス男子の国枝慎吾(ユニクロ)は「重責を担わせていただくことを、大変光栄に感じています」というコメントに込める。パラアスリートの象徴的存在として迎える晴れ舞台は自らが切り開いて引き寄せた。
 2008年北京大会で男子シングルスの金メダリストになると、「障害者スポーツ界に携わる方々に夢を与えられる」。そう決意を述べ、09年にプロ転向を宣言。競技を続ける費用の工面に気をもみ、引退を考えた時期もあったが、他競技のパラ選手にも道筋を示した。
 新型コロナウイルス禍で1年延期となった後の昨年9月には、外部との接触を遮断する「バブル方式」が導入された全米オープンに出場。そこで得たコロナ対策の知見を共有するため、東京五輪・パラリンピック組織委員会と意見交換もし、開催への道を探る上で道しるべとなった。
 無観客の東京・国立競技場。静寂に包まれながら、選手宣誓した。「世界をよりよい共生社会にするために、参加することを誓います」。今度は勝負のコートに挑む。