2021-08-12 12:40

ポスト東京の五輪は=数千人減、小さい会場も

 五輪の肥大化が叫ばれて久しい。史上初めて1年延期され、コロナ禍で強行開催された東京五輪は33競技339種目、42会場、選手約1万1000人に膨れた。コロナ対策においても、巨大になり過ぎた大会規模がいっそう足かせとなった。
 巨費がかかる五輪の招致熱は近年冷え込んでおり、国際オリンピック委員会(IOC)にも危機感はある。IOCの内情に詳しい海外の識者は「選手の数を7000〜8000人まで徐々に減らし、選手村も縮小したいのでは」とみている。
 東京五輪はIOC改革案に沿って5競技が加わり、規模は最大級になった。ここから選手を数千人減らすには少なからず時間がかかりそうだが、全てを削る方向ではないようだ。IOC関係者は競技について「減らすのは考えの外」と言う。
 五輪は世界最大のスポーツ大会。IOCからすれば、欠かせないコンテンツである競技をできるだけ確保しておきたい。それぞれの競技の中で種目と選手の数を減らすのでは、と識者はみる。
 IOCは既存施設の活用に傾いている。会場を新設すれば経費がかさむだけでなく、大会後の利用をめぐる問題も残る。国際競技団体が五輪の会場に求める要件も以前ほど厳しくなくなった。
 選手数を絞れば、小さい会場による小規模な運営の余地も生まれる。五輪未開の途上国にも開催への道を開くかもしれない。「大陸別など小規模な総合大会から始めて施設をそろえていけば、いずれは五輪招致にもつながる」と識者は言う。
 多くの競技を抱えつつ大会規模を縮小し、五輪はカネのかからない方向にかじを切れるだろうか。