2021-01-20 17:02

8割集客のデータ活用を=野球・ソフト、横浜スタジアムで実証実験―東京五輪

 東京五輪の野球・ソフトボール会場となる横浜スタジアムで、昨年10月30日から11月1日まで、観客席を満員に近い状態にしての検証が行われた。プロ野球DeNAが阪神を本拠地に迎えた3連戦。新型コロナウイルス対策のため、それまで収容人員の50%を上限に開催してきたのを、80%に設定。最終日は約86%の2万7850人を集めた。
 感染防止を徹底しながら技術実証に取り組んだ。高精細カメラを活用し、入場者のマスクの着用率を調査。二酸化炭素(CO2)を測定する機器では吐く息、イコール飛沫(ひまつ)の状況を確認。風速計を増設して風向きも調べた。DeNAの担当者は「目的はデータを取って、次につなげること。それぞれを組み合わせた検証もしていく。今後、大規模イベントなどで生かしていただければ」と説明する。
 電波で位置情報を発信するビーコンなどの技術で、コンコースの人の流れやトイレの混雑状況の把握に努めたほか、規制退場の効果も検証した。収集したデータは東京五輪・パラリンピック組織委員会や日本野球機構(NPB)と共有。感染症の専門家からは「5割を超えて入れるために、どうしたらいいのかがはっきり見えてきた」(三鴨広繁愛知医科大教授)と前向きな意見が出た。
 昨年11月に行われたプロ野球のオーナー会議で、DeNAの南場智子オーナーも「50%と86%でそれほど大きな問題はなかった。乗り越えられない課題は発見されていない」と語った。コロナ禍が収まっていそうにない半年後の五輪。ともに金メダルが期待される野球・ソフトで、より多くの人が生で観戦できるよう、関係者は準備を進める。