2021-08-10 13:31

酷暑の東京五輪、相次いだトラブル=急きょ時間変更、専門家は評価

 コロナ禍で開催の賛否が渦巻く中、閉幕した東京五輪。大会期間中、東京都など首都圏に加え、札幌市も酷暑に見舞われ、選手やスタッフは熱中症で倒れたり、試合時間が急きょ変更されたりといったトラブルに見舞われた。専門家は、秋の開催がベストだったとした上で、「フレキシブルな変更は大切」と対応を評価した。
 開会式当日の7月23日、アーチェリー女子の試合に出場したスベトラーナ・ゴンボエワ選手(ROC)が競技終了後、熱中症の症状を訴えた。
 酷暑対策のため札幌市で開催された8月6日の陸上男子50キロ競歩では、川野将虎選手がレース中に路上に倒れ込んだ。ゴールし6位入賞を果たしたが、「暑さで内臓がやられてしまった」。レースでは59人中10人が途中棄権した。
 暑さを避けるため試合時間を変更した競技もあった。テニス男子は、世界ランク上位選手らが午前11時開始の試合を遅らせるよう求め、6日目から午後3時開始に変わった。
 サッカー女子の決勝でも、スウェーデンとカナダの両チームが6日午前11時のキックオフを遅らせるよう要求。午後9時に繰り下がり、会場も変更された。これに伴い、6日に行われた男子3位決定戦(日本―メキシコ)は、女子決勝と時間の重複を避けるため、開始時間を2時間繰り上げ午後6時キックオフとなった。
 7日、札幌でのマラソン女子は開始を1時間繰り上げ午前6時スタートとなったが、88人中15人がリタイアした。翌日の男子は曇天のため予定通り午前7時からの出走となったが、106人中30人が途中棄権した。
 国士舘大スポーツ医学科の田中秀治教授は「ベストは10月だったと思うが、リスクを承知の上で開催したのだろう。想定の範囲内では」と話す。試合時間の変更については「気候に応じてフレキシブルに変えられることは大切」と評価。熱中症患者が重症化しなかったことなどからリスク管理できていたとし、「アマチュアスポーツにも通じるレガシー(遺産)とすべきだ」と話した。