2021-08-10 06:43

「東京限り」諦めず普及を=野球・ソフト―空手は復活に自信〔五輪〕

 東京五輪で日本が金メダルを獲得した野球、ソフトボール、空手は、いずれも次回2024年のパリ大会では実施されないことが決まっている。どの競技も歓喜に沸いた分、五輪から外れることで当事者の危機感は強い。
 野球については、08年北京五輪以降に2大会連続で外れたことが、世界の競技人口減少に影響したという見方がある。日本の稲葉篤紀監督は「少しでもこの五輪で野球に興味を持ち、始めるきっかけになれば。多くの子どもがバットやボールを手に取ってくれると、これほどうれしいことはない」と話してきた。
 米国のマイク・ソーシア監督は決勝後の会見で「野球は世界中に広がっており、五輪競技に値するスポーツ」と強調した。マイナー選手中心の構成で日本に敗れたが、今後大リーガーの派遣を認めるかが復活のカギとなろう。参加国の少なさと、それに伴う変則的なトーナメントの改善を検討する必要もありそうだ。
 ソフトボールでは、せっかく注目度を取り戻しながら、熱が急激に冷めることが懸念されている。上野由岐子は「金メダルを取ることができて、一段と注目してもらえると思う。五輪種目でなくなっても、それをどう維持していけるか」。米国のエース、モニカ・アボットは「五輪から外れることはとても悲しい。ソフトを復活させてほしい」と願う。野球もソフトも決勝は日米の対戦。改めて欧州などへの普及活動に立ち返り、権威ある世界大会として復活させる努力が求められる。
 空手は今回20カ国・地域の選手がメダルを獲得し、「グローバル」を強調する。世界連盟のアントニオ・エスピノス会長は「9月に出る視聴率などの数字を基に、どのような価値を提供できたかが分かる。国際オリンピック委員会(IOC)も真剣に捉えるはずだ」と自信ありげだ。女子組手61キロ超級でメダルを逃した植草歩は「最終目標は、また空手が入ること」と再挑戦を期した。野球やソフトと同様、28年のロサンゼルス大会で復活する望みはある。