トランプ氏対応が争点=極右に追い風、与党苦戦―独総選挙まで1カ月
【ベルリン時事】2月23日投開票のドイツ連邦議会(下院)選挙まで残り1カ月となった。経済再建や難民政策に加えて、今月20日に就任したトランプ米大統領への対応が争点に浮上。支持率2位の極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」はトランプ陣営との親密さを追い風に、首位を走る保守野党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との差を縮めようとしている。
独メディアが報じている政党別支持率では、CDU・CSUが3割前後で安定し、AfDは一時20%台に上昇するなど勢いづく。連立与党の中道左派・社会民主党(SPD)は16~19%、環境政党の緑の党は13~15%で苦戦している。
トランプ氏の盟友である米富豪イーロン・マスク氏は「ドイツを救えるのはAfDだけだ」と投票を呼び掛け、AfDのクルパラ共同党首はトランプ大統領の就任式に参加。こうした動きが、異端視されてきたAfDに対する有権者の心理的なハードルを下げる可能性がある。
ドイツにとって米国は経済、安全保障両面で最重要パートナーの一つ。トランプ氏の動向に神経をとがらせており、一部報道によると、在米ドイツ大使は本国宛ての機密文書で「最大限の混乱が(独裁的な)権力の集中につながる」と警告。労組系シンクタンクは、トランプ氏の高関税策によって世界の貿易が滞った場合、独国内で30万人の雇用が失われる恐れがあると分析した。
次期首相最有力候補と目されるCDUのメルツ党首は、米国と渡り合うために欧州の団結が必要だとして、「欧州のけん引役」を果たすと意気込んだ。一方、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの米国離脱に落胆を隠さない緑の党のハーベック副首相は「欧州は米国との腕力勝負に備えなければならない」と対決姿勢を鮮明にしている。
SPDを率いるショルツ首相は、「無駄に興奮したり怒ったりせず、なれ合いや迎合をすることもない」と冷静さを装った。ショルツ氏は、他党の自滅に助けられた2021年の前回選の再現を狙っているとみられるが、支持は伸び悩んでいる。
[時事通信社]
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