フジテレビ、対応誤り経営問題に=CM差し止め、株主も圧力
中居正広さんの女性トラブルは発覚から1カ月余りで、社員の関与が疑われたフジテレビグループ全体の経営問題に発展した。独立性があいまいな調査委員会の設置や出席者を限定した記者会見に批判が集まり、番組スポンサーの間でCM差し止めの動きが加速。大株主の米ファンドにも圧力をかけられ、結局は第三者委員会の設置とオープンな会見の開催に追い込まれた。
フジの港浩一社長は17日の記者会見で「第三者の弁護士中心の調査委を立ち上げる」と表明し、徹底調査を約束した。しかし、日本弁護士連合会のガイドラインに沿った第三者委員会ではなく、独立性に欠けるとの疑念が広がった。会見に特定の報道機関の記者しか出席させなかったことも、SNS上で「炎上」を招いた。
スポンサーの対応は素早く、トヨタ自動車などが会見直後からCMの差し止めに動いた。フジの報道によると、その数は20日時点で75社に上り、その後も拡大は止まらない。
広告料の返金がない既存契約だけでなく、新規契約を含めて「来月以降もグループ全社で見合わせる」(NTT)との動きも広がり始め、親会社フジ・メディア・ホールディングスは23日、「広告出稿の減少などによる業績への影響が見込まれる」と認めざるを得なかった。
6月には親会社の株主総会が待ち受ける。株式の7%以上を保有する米ファンドのダルトン・インベストメンツは「コーポレートガバナンス(企業統治)に深刻な欠陥がある」と批判。調査の結果次第で取締役選任案に反対する可能性をちらつかせる。
経営陣にとって、株主の支持は盤石ではない。2023年の前々回総会で金光修社長への賛成率は約58%と、選任に必要な過半数の確保が危ぶまれる状況だった。ダルトンは昨年5月の書簡で、フジ親会社の日枝久相談役が取締役を40年以上も務めている点を問題視し、取締役会の構成について「このままでは許されない」と異議を唱えた。
[時事通信社]
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