長引く不動産不況、経済圧迫=人口減追い打ち、立て直し難しく―中国
中国で長引く不動産不況が経済を圧迫している。2024年の住宅販売面積は前年比14.1%減と、3年連続で前年割れ。昨年は購入規制の緩和や住宅ローン金利の引き下げといったてこ入れ策が相次いで打ち出されたものの、人口減がもたらす実需縮小が追い打ちをかけ、立て直しの難しさが浮き彫りになった。景気回復に向けた最大の足かせになっており、政府は悩みを深めている。
◇在庫解消、10年は必要
「わが国は、経済成長のけん引役が変わる重要な時期にある。不動産のような一部は役割が弱まっている」。国家統計局の康義局長は17日の記者会見で中国経済の現状についてこう説明した。
米CNBCテレビは昨年1月、中国の不動産市場について、積み上がった在庫の解消には「10年以上かかる」との専門家の予想を紹介。中国政府の支援策強化が追い風となり、大都市の一部で市況が底打ちしつつあるものの、人口減が進む小規模都市を中心に値下がりは当面続くとみられている。
中国では、不動産開発大手の中国恒大集団で経営危機が発覚した21年ごろに不動産バブルが崩壊。不動産は家計の主要な資産になっており、その後、深刻な消費不振につながった。昨年の小売売上高の伸びは3.5%と、コロナ禍前の19年の8.0%を大きく下回った。消費低迷が企業業績の悪化や就職難を招き、さらに消費を圧迫する悪循環に陥っている。
◇アパートは半値に
1月中旬、人口減が急速に進む黒竜江省の省都、ハルビンを訪れると、至るところで「部屋を販売中」との看板が目についた。冬季アジア大会の開催を2月に控え、中心部の一角では街の再開発が進展しているが、数キロ先では建設が途中で放棄されたビルが並んでいた。
ハルビンの30代男性は、コロナ禍前に購入したアパートの価値が「おそらく6割程度になった」と嘆いた。だが、同省西部チチハルの出身というタクシー運転手の男性は「ハルビンの経済はまだましだ。チチハルの(不動産価格)下落状況は半額どころではないし、何より仕事がない」と話す。
世界銀行は昨年12月、25年の中国成長率が、24年よりも0.5ポイント低い4.5%にとどまると予想。政府の景気刺激策を評価しながらも、不動産市場の冷え込みは、少なくとも今年後半まで続くとの見通しを示している。
対中関税の大幅引き上げを公約に掲げるトランプ次期米大統領の就任を受け、対米貿易摩擦が一段と激化するとの懸念も根強い。康氏も17日の会見で、25年に「外部環境変化の悪影響が広がる可能性はある」と分析。その上で、景気てこ入れに向け消費刺激策などを一段と強化する必要性に言及した。
[時事通信社]
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