イチローさん「経験伝える」=当時21歳、選手寮で被災―阪神大震災
元プロ野球選手のイチローさん(51)は、16日に東京都内で行われた野球殿堂入り通知式でのスピーチの締めくくりに「最後になりますが、あすで阪神・淡路大震災から30年がたちます」と万感を込めて言った。
当時21歳。神戸市を本拠地としていたオリックス・ブルーウェーブに所属しており、同市内にあった選手寮で被災した。就寝中に大きな揺れに見舞われ、「自分はこれで死んじゃうのかもしれない」と感じたという。「寮があったエリアは、そんなに大きな被害はなかったが、それでも初めて命について考えさせられた時間だった」
現在は国内の高校生に、自らプレーの手本を見せたり、対戦相手になったりしながら野球を教えている。青少年と接する機会は多く「一被災者として経験した思いを、経験しなかった子供たちに伝えていけたらなと思っている」と語った。
1995年のオリックスは「がんばろう神戸」を合言葉にリーグ優勝を果たし、翌96年には日本一に輝いた。被災地に勇気を届けたチームの中心にいたのがイチローさんだった。「神戸は僕にとって今も特別な場所。これからも自分なりに進んでいく姿が、誰かのきっかけになったり、支えになったりすればいいなと思っています」。
[時事通信社]
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