金融規制、後退観測=トランプ政権発足控え―米銀行界
【ニューヨーク時事】トランプ次期米政権の発足を20日に控え、米銀行界では連邦準備制度理事会(FRB)が導入を目指す新たな金融規制案が大幅に後退するとの観測が広がっている。トランプ次期大統領が第1次政権で規制緩和に取り組んだことや、金融規制担当として規制案の取りまとめを主導したバーFRB副議長が辞任を決めたことが背景にある。
問題となっている規制案は、大手・中堅行に義務付ける自己資本増強。2023年に地銀破綻が相次いだことを踏まえ、金融システム安定化に向けてFRBなどが策定した。ただ、金融大手各社は資本の過剰な積み増しで融資が縮小し、経済に悪影響が生じると反発。批判を受け、FRBは案を見直す方針を表明していた。
米金融大手ゴールドマン・サックスのソロモン最高経営責任者(CEO)は15日の電話会見で、「(当局が)これまで示したやり方とは異なるものになる」と期待を寄せた。シティグループも「過去数年にわたるリスク改善の取り組みを反映した内容になるだろう」(フレーザーCEO)と予想した。
JPモルガン・チェースのダイモンCEOは同日公表した声明で、「規制は経済成長の促進に加え、安全で健全な銀行システムが保てるよう設計されるべきだ」と当局にくぎを刺した。
規制緩和を好むトランプ氏の復権に加え、バー氏がトランプ氏との対立を避ける思惑で副議長職の辞任を選んだことから、「新たな規制案は現行とほぼ変わらないものになる」(アナリスト)と、「元のもくあみ」を見込む声が大勢だ。
[時事通信社]
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