大器に成長の跡=王鵬、新三役へ着々―大相撲初場所
王鵬は鋭く当たり、左をねじ込んだ。大の里には過去3度の対戦でいずれも敗れていたが、大関得意の右差しを許さなければ、勝機があると信じていた。「怖がらずに相撲が取れた」。淡々と振り返った口ぶりに自信がにじむ。
「立ち合いでしっかり起こせて流れができた」。大関の圧力に後退しても慌てず、左から振って後ろ向きにさせた。土俵際での逆転とはいえ、本人は決して薄氷の内容だったとは捉えていない。
新三役昇進を狙える西前頭3枚目。初日から役力士との対戦が続く中、白星をきれいに五つ並べた。「体がしっかり動いている」。2日目には、優勝経験がある返り小結の若隆景を初めて破るなど、確かな成長の跡が見て取れる。
祖父に「昭和の大横綱」大鵬を持ち、大器と期待されながら、恵まれた体格を生かし切れずに伸び悩んだ時期もあった。堂々とした攻めっぷりも光る今場所。東前頭筆頭だった昨年11月の九州場所で負け越した悔しさは忘れていないだろうが、「何が懸かっていても同じ気持ち。しっかり前に攻め続けられたらいい」。この一念を貫く覚悟だ。
[時事通信社]
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