韓国大統領を拘束=内乱容疑、現職で史上初―聴取に黙秘、逮捕状請求方針・捜査本部
【ソウル時事】韓国の高官犯罪捜査庁(高捜庁)や警察などの合同捜査本部は15日、「非常戒厳」宣言を巡り内乱容疑で尹錫悦大統領(64)を拘束した。現職大統領の拘束は韓国史上初めて。尹氏は談話を発表し、「不法な捜査を認めないが、流血の事態を防ぐため応じる」と述べた。
捜査員は同日早朝、ソウル中心部の大統領公邸敷地内に進入。懸念された大統領警護庁との物理的衝突はなく、午前10時33分(日本時間同)に拘束令状を執行した。尹氏はソウル近郊の高捜庁に護送され、同庁は午前11時から尹氏の取り調べを開始した。尹氏は黙秘し録画も拒否したという。韓国メディアによると、初日の取り調べは午後9時40分ごろに終了し、尹氏はソウル拘置所に護送された。
捜査本部は、48時間以内に裁判所に逮捕状を請求する方針。逮捕状が発付されれば最大20日間拘束が認められる。
合同捜査本部は、戒厳宣言後に国会へ軍や警察が投入されたことなどについて、憲法秩序を乱す目的の暴動に該当すると判断。尹氏を内乱の「首謀者」と位置付ける。大統領には在職中に訴追を免れる不訴追特権があるが、内乱罪は例外と憲法に規定されている。内乱罪の首謀者と認定されると死刑または無期刑が科される。
警護庁は公邸入り口付近に鉄条網を設置したり、大型バスを並べてバリケードを作ったりして公邸を「要塞(ようさい)化」していた。高捜庁関係者によれば、捜査当局は今回、失敗した1回目の令状執行の6倍となる約600人の捜査員を動員。前回と異なり、妨げる警護員はいなかったという。
尹氏は談話で、審査権のない地裁が捜査権のない高捜庁に拘束令状を発付したと批判。尹氏の弁護団は拘束が「不法だ」としてソウル中央地裁に適否審査を申請した。
[時事通信社]
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