トランプ氏、一審有罪確定=異例尽くしの口止め料事件―NY州地裁、刑罰科さず
【ニューヨーク時事】トランプ次期米大統領が不倫口止め料を不正に処理したとされる事件で、ニューヨーク州地裁は10日、「無条件の放免」と呼ばれる刑罰を科さずに有罪とする判決を言い渡した。米大統領経験者が刑事責任を問われた前代未聞の事件は、一審有罪が確定した。トランプ氏は20日、有罪とされながら就任する初の米大統領となる。
◇選挙戦のさなか
事件は2023年3月の起訴から異例尽くしの展開をたどった。当時、トランプ氏は既に24年大統領選の共和党の有力候補で、このタイミングでの立件は国内外で驚きを呼んだ。
大統領選まで半年余りとなった24年4月に公判が始まると、トランプ氏は選挙活動と出廷の両立を余儀なくされた。だが、地裁に詰めかけた報道陣を逆手に取って、支持者に連日アピール。民主党による「司法の武器化」の被害者だと印象付けることに成功し、7週間後の5月に陪審が有罪評決を下しても、トランプ氏の支持率は大きな変動を見せなかった。
トランプ氏は同時に、裁判が選挙戦に与える影響を抑えようと、申し立てを繰り返して進行を遅延させる戦術を展開。量刑は24年7月に言い渡される予定だったが、三たび延期され、その間に同11月の大統領選で勝利を収めた。
◇事前に量刑判断公表
トランプ氏が次期大統領となったことで、地裁は難しい判断を迫られた。検察はトランプ氏の任期が終わる29年まで裁判凍結を提案したが、今月20日に控える大統領就任式までに裁判を終わらせることが「義務だ」と判断した。
一方、地裁は返り咲きに支障を来さないことも重要だと指摘。トランプ氏は最高で禁錮4年が科される可能性があったが、事前に無条件の放免を言い渡す意向を公表する特別対応をみせた。
米紙ニューヨーク・タイムズの分析によると、過去10年でトランプ氏と同じ罪で有罪となった被告のうち、3分の1が禁錮刑となり、刑罰なしのケースはなかった。地裁は10日、「無条件の放免が、国の最高職位を侵害することなく有罪にできる唯一の合法的な判決だ」と説明した。
一貫して無実を訴えてきたトランプ氏は10日、「魔女狩りだ」と改めて主張。控訴する意向を示した。大統領就任後も法廷闘争が続く見通しだ。
[時事通信社]
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